銀座・ザボン・30周年を祝う会での祝辞 -お客が十人で満員の店

昭和53年はどんな年だったか、覚えてらっしゃいますか。ピンクレディの「UFO」がはやった年で、吉行淳之介先生の「夕暮まで」が大評判となり、「夕暮族」とい う言葉がよく使われました。

熱い夏で、そのせいかどうか、「フィーバー」というのが流行語。

長い夏がまだ終わらない九月、銀座6丁目の丸嘉ビル地下1階でザボンが開業しました。

カウンター10席の狭い店で、従業員は紺のタンクトップのあたし一人。まだ珍しいグレンリベットの専門店で、リザーブ代は2万円でしたが、それ以外は3千円か4千 円。毎晩満員で、ザボンフィーバーなんてかわかられました。

文春と講談社とその他いろいろの出版社とCIA(!)とコピーライターの方々、それから財界の方々がごちゃまぜのにぎやかな店で、林真理子先生がまだ西武のコピー ライターで、よくお見えになりました。もちろん、芥川賞、直木賞の先生方も。ザボンでお飲みになるとよく賞をお取りになるなんてジンクスもございました。本当で すよ。このジンクスは今でもあるような気がしますけど。錯覚でしょうか。

その昭和53年からあっという間の30年。

今は広い店なので、押すな押すなではありませんが、でも相変わらずごひいきをいただいております。本当に有り難いことでございます。

つきましては、ご愛顧を賜りましたお客様方を一夕お招きして30年をお祝いしたいと思い立ちました。御多用のところ恐縮ですが、あの3坪の店以来の思い出のため お運び願えませんでしょうか。

あたし一人でこういう催しを致しますのは心細いので、15人の方に発起人になっていただく形にしました。お客様代表の役をこころよくお引き受けくださった皆様 には感謝の言葉もございません。

では当日、店の女の子たちといっしょに着飾って、お待ち申し上げます。

平成20年3月吉日
銀座ザボン 水口素子